yamadamn’s blog

IT関連技術で経験したこと・気になったことをたまに書きます

"Javaのサポートポリシー変更等に関する技術レポート" に意見してみた

実に2年ぶりのブログを書いてみます。ついでなので、はてなダイアリーから移行してみました。

Javaのリリースサイクル変更に関連して、一通り情報が出揃ってきました。 一部では日経xTECHなどで相変わらず酷い記事量産して不安を煽り立てていますが、Javaは今も無償であり、Oracle JDK/JRE以外にも様々な選択肢があることは今更言うまでもありません。

さて、日本では政府CIOがまとめた標準ガイドライン群があり、官公庁の情報システム向けの指針を提示しています。 この中に技術レポートとして "Javaのサポートポリシー変更等に関する技術レポート"1があります。 "2018年4月時点の情報に基づき" と記載されていますが、無償で利用するための選択肢がOracle OpenJDKについてしか触れられていないように見えます。

各種ガイドへのご意見はこちらまでお願いします。 内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 E-Mail:i.it-dashboard_atmark_cas.go.jp

※迷惑メール防止のため、atmarkは@に置き換えてください。

とのことだったので、今更感はありますが、以下の通り意見を出してみました。

内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 ご担当者様

お世話になります。山田と申します。
https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/technique_report_java.pdf
こちらで掲載されているレポートについて意見したく、メールを差し上げました。

5月に本レポートが発表されてから、様々な動きがあり、内容が古くなっていると
見受けられますので、改訂をいただきたく存じます。

具体的には、[3 サーバー環境向けJavaへの対応] の [3.3 対応方針]  (P5)において、
有償サポートもしくはOracle OpenJDK(無償だが半年サイクル)の選択肢のみあるような
書き方がなされておりますが、無償であっても次のような複数の選択肢が存在します。
a) AdoptOpenJDK (MicrosoftやIBMなどがスポンサー)
b) Zulu Community Builds (from Azul Systems)
c) Amazon Corretto (from AWS, 現時点ではプレビュー版)

これらにはいわゆるテクニカルサポート(ベンダーの問合せ対応)は含まれませんが、
LTSでの更新版(アップデート)は、概ね4年以上は提供される見込みです。
これらの無償版を利用する選択肢を 3.3→1)→(2)(3)に加えていただきたく存じます。
※実際のところ a) b) については、本レポートが発表される以前から公表されており、
 選択肢として当初から加えるべきであったと考えております。

なお、それ以外にも用語の面で、"Java"とOracle JDK/JREを同一視していたり、
"OpenJDK"がOracle固有のバイナリのみを示すような書き方がなされていますが、
これらも参考資料をもとに、より正確中立な書き方をなされることも検討ください。

■参考資料
Software Design 2019年1月号 - 第2特集
https://gihyo.jp/magazine/SD/archive/2019/201901

各JDKベンダの動向を知ってJava 11に備えよう
https://gihyo.jp/news/report/2018/10/0501

「Java is Still Free」-Javaのサポート問題へ終止符、迎える4つの進化
https://codezine.jp/article/detail/11258

JDK、Oracle JDK、OpenJDK、Java SEってなに?
https://qiita.com/nowokay/items/c1de127354cd1b0ddc5e

JDKの長期商用サポート(LTS)の提供ベンダー比較(無償利用についても言及あり)
https://qiita.com/u-tanick/items/bb166929a58a4c20bb88

Javaのサポートについてのまとめ
https://qiita.com/nowokay/items/edb5c5df4dbfc4a99ffb

なお、上記の参考資料は、民間Javaコミュニティの有志にてまとめられたものであり、
本レポートの [4 参考情報へのリンク] として記載されているOracle社のみの情報より、
公平中立性が保たれていると考えております。

また、いくつかの参考資料からリンクされていますが、世界各国のJava Championが
まとめた「Java is Still Free」もご確認いただければと存じます。
(英語版) https://docs.google.com/document/d/1nFGazvrCvHMZJgFstlbzoHjpAVwv5DEdnaBr_5pKuHo/edit
(日本語版) https://docs.google.com/document/d/1HtUnuAkUEDGL2gwUOkrDrmLe_zrD6wpAyqYBZxRmHv4/edit

以上、よろしくお願い申し上げます。

xTECHなども、この政府CIOから出されているレポートに影響を受けている可能性もあるため、少しでも誤解や偏見をなくしていければと思います。

なお、個人的な話として、Oracle ACEは今年卒業しましたが、今後もJavaコミュニティに微力ながら貢献できればと考えています。 一部の方から、先日 "OpenJDK警察"との称号(?)を賜りましたが、今回の意見はその活動の一環とも呼べるかもしれません。


  1. 改訂版がリリースされたためリンク切れになってます。